カオスパニックレポート

匠平主催怪談イベントフェスティバルカオスパニックchaospanic

北海道河西郡芽室町で2024年7月6日(土)と7日(日)の2日間開催された、怪談・プラモデル・コスプレ・漫画・イラスト等のサブカルチャーに特化したサーキットフェス「カオスパニック ~サブカルで勝手に町おこし~」。
大好評だったその現場の模様を、出演者でもあるオオタケさんのレポートでお伝えする。
現在発売中の配信アーカイブとあわせて是非お楽しみ下さい。

1日目、天気曇りときどき雨。

開演の2時間前頃に演者たちは会場に到着。
札幌から車で3時間ほど、帯広の近くの今回の会場芽室町は、とにかく大自然の中!
広ーい畑や山に囲まれています。

車から会場の建物を見遣ると、聞いていた以上にクラシカルで雰囲気のある建物!
此処は大正時代に建てられた建物で、今も現役の幼稚園として使われているそう。
そんな貴重な場所が、今回のイベント『カオスパニック』の会場なのです。

「すごい建物!」
「雰囲気ある〜!」

とみんなでパシャパシャ撮影会。

お天気は晴天とはいきませんでしたが、さすが北海道、本州にいたら考えられないくらい涼しい!
沢山の緑の香り! 気持ちいい!!
そして会場の中に入っていくと、なんだかめちゃくちゃ可愛い人たちが「おはようございまーす! よろしくお願いしまーす!」と声をかけてくれる。
実は、今回2日目の本祭にコスプレイヤー側の演者で出演される方々が、初日の運営スタッフもしてくれているとのこと。
ありがたいやら、皆さんニコニコ優しく声かけしてくださって、ほんと北海道あったけえなあ(気温は涼しいけど)。

楽屋として使っている教室(幼稚園だから机も椅子もちっちゃくてかわいい!)にみんなで荷物を置いて、喫煙者組はヤニタイム!
煙草を吸いながら園舎を眺めたり、至る所にいるヤギやワンちゃんや孔雀を愛でたり、設営されたテントやフードトラックを見て「楽しみだねえ」と会話に花が咲きます。
ちなみに演者の中で唯一田中俊行さんだけは、どのルートで何時に来るか誰も把握できておらず(どうやら前日に函館で高田公太さんとイベント出演を終えて直で向かってくるとのこと)、結局開演直前の16時頃まで来ませんでした……うん、通常営業。

お客さまたちの入場待機列には、道内各所から来てくださった方々がずらり!

「7時間で来れました〜!」
「12時間くらい運転しました!」

の声には、さすが北海道……とクラクラ。
そして、待機列の先頭に東京から遠征組の知ってる顔(猫温泉)を見つけた瞬間には、思わず駆け寄ってハグしました!

「16時過ぎにカオスパニックスタートの挨拶するよ〜!」の園内放送が入り、お客さまたちはメインステージの体育館へ。
カオスパニック期間中はコスプレイヤーさんたちのグループ「オタクルーズ」の取りまとめもやられている大林さん(吉本興業ぁみさんと同期!)がメインMCを担当、軽快なトークで会場を盛り上げてくれます。
主催の匠平さんの煽りで会場も温まったところで、参加者全員「カオスパニック、スタート!!」と声を上げて、いよいよお祭りスタートです!

カオスパニックは、メインステージである体育館と園舎内の教室①と教室②が会場。
計3つのステージを回遊できるサーキットイベントです。
これがまた「匠平さん、やるねえ〜」と唸るほど全部の会場を観に行きたくなっちゃうスケジュールになっておりまして……。

「今いるステージもめちゃくちゃ楽しいけど、あっちのステージそろそろ移動しなきゃ!」
「移動しなきゃだけどこの流れだけ見たいっ!」

と、せめぎ合いながらお客さまが移動してる様子が見れたり、ずっと教室②で1日中最前を確保して鎮座する姿勢のストイックなお客さまもいたり(伺ってみたら演者全員じっくり聞きたかったからあえてそのステージを選んで一日移動しないことに決めたそうです!)。
「うわー! すごい! これぞフェスだ!!」を物凄く感じました!

わたしの初回ステージは教室①での田中俊行さんとの2人会。
いつのまにかヌルッと会場に到着していた田中さんと世間話をしてるうちに時間が迫ってきます。

田中さんとは、イベントの裏方としてお手伝いさせてもらった時に楽屋でずっと一緒に煙草を吸いながらお喋りしたり、プライベートでもお付き合い自体は結構長くあるのですが、舞台での共演は今回が初!
時間が迫るにつれて「これはノー打ち合わせの方がおもろいな」と思い、あえてわたしも出番については触れませんでした。

ステージ開演の7分前、不意に田中さんが「オオタケさん、煙草いきますか?」と仰る。
(え!? 7分前だぞ?)と思いつつも、「いきましょか」と2人で喫煙所まで。
ほんわり煙草を吸ってたら田中さんがチラッと時計を見て「あ、あと3分や。いきますか」と、園内に戻ろうと二人で歩きはじめた瞬間、「すみませ~ん」と男性の声。
喫煙所があるグラウンドは無料キャンプエリアになっており、そこでお子さんと焚き火をしたりしてキャンプを楽しんでいる方でした(カオスパニックはそういう参加も出来るんです!)。

「あの……ずっと声かけたかったんですけど、田中さんにサインしてほしくて……」

緊張が伝わる一生懸命な声。
ステージ開始まであと2分。
田中さんはお客さまの声に間髪入れず「うれしいです、サインさせてください」と、穏やかな優しい声で応えます。

待ってステージは!?
今このタイミングでも焦りの全くないそのテンション感で応えるんや!?
動揺するわたしの顔を見ずにサインする本とペンを受け取りながら、めっちゃええ声で田中さんひとこと、

「オオタケさん、先、いっといて」

ヤバい男前でした。
ダッシュで1分前に教室①に駆け込むと、田中さんファンで教室はパンパン!
定刻になった瞬間に、第一声を発します。

「はい、ただいま18時40分定刻となりました! 本日こちらのステージに出演される田中俊行さんですが、ただいま……ファンサービスのサインをしてらっしゃいます~。到着まで今しばらくお待ちくださいませ」

ドッと笑いに包まれる会場、お客さまの顔を見たら皆さん笑顔で、

「田中さん優しいね〜!」
「さすが田中さんだね〜!」

田中さんの人徳よ!
そして(外は涼しいけど)北海道あったけえ〜!
その後すぐ主催の匠平さんがひょこっと教室に顔を出し一言「あいつ、やったな?」。
笑いが起きる中事情を説明すると「ちょっと!! 俺めちゃくちゃ悪いやつじゃん!!」と言ってまた大笑いが起きる中、現れた田中さんに大きな拍手が起きます。

ステージが数分遅れで始まった直後「あれ!?」となったことがひとつ。
田中さん、場をまわそうとしている……!?
感動して思わず、

「ちょっと! 一個いいですか! 田中さんプライベートでは色々お付き合いもありますけど、今日も打ち合わせなしでここに来て、まさかまわしをやろうとしてくれるのかって今感動してます!!」

田中さんは落ち着いたイイ声で「まあ……出来る男なんで」。
そのまま本編はいつもの田中さんのバランス感で進み、皆さまの満足そうな笑顔と拍手に見送られながら2人でタバコを吸いにまた外へ。
タバコを燻らせながら「なんか……とりとめのない……時間でしたね」と薄笑いの田中さん。
結局、2人で喫煙所で喋ってる時のこの空気感のまんまのステージになりました、これ是非観て欲しい!

次の出番はメインステージ!
今までの共演回数も多く、今回2日間通してご一緒する機会が最多の響さんと、初めましての高田公太さんとの3人のステージです。
響さんは高田公太さんの取説を私に優しく伝授してくれました。

「すごく面白い方なんですけど、事前に打ち合わせしたこと完全に無視したりしますんで、心に留めておいてください!」

そこに高田さん登場、「あのさ、俺このステージを今日一番怪談ガチでやりたいんだけど」と仰る。
そこから響さんと高田さんによる熱いディスカッションが行われ、締めに響さんがパッとこちらを向いて、

「で、この真逆になる場合がありますからね!」

怖くて思わず笑ってしまいました。
実際はちょうど夕暮れ時の雰囲気満点な会場で、ひたすら長尺の怪談を応酬、客席の皆様がこちらに釘付けになってるのをヒシヒシと感じるすごく良いステージになりました。
お客さまからの評判も非常に良くて嬉しかった!

合間合間に色々ステージを覗き見しに行ったのですが、メインステージはふらりと眺めて楽しんでいるお客さまや、まさに”カオスパニック”な組み合わせで登壇してる演者の姿が印象的でした。
時間が経つにつれて教室は満員、お客さまは常にみっちみち!
ガラス戸から見えるお客さまたちのキラキラした顔、園舎の廊下にまで響く笑い声や悲鳴に、演者との距離も近くてこの古い味のある学校というロケーション……最高だな!
そうヒシヒシと感じました。

わたしの初日出番ラストは教室②での大トリ。
初めましての梅木さんとの2人会だったのですが、これもまたノー打ち合わせ。

最後はお客さまの前で好き放題やりたい!
梅木さんなら何してもどうにかしてくれる!

と、やり散らかした模様は是非配信でご確認いただけたら嬉しいです!
梅木さんも「せっかくだからここでしか出来ない話」を連発してくださって、終わった後に皆さんが口々に「すごいよかったです! めちゃくちゃ面白かったです!」と声をかけに来てくれたのが嬉しかったです。

1日目が終了し、楽屋に演者たちがなんとなく戻ってきて集まりつつある頃、実はこの日各所で話題に上がっていた「今日の各自の寝床」という問題に対峙することとなります。
手違いで4人部屋が一つ発生してしまい、シングルの部屋の争奪戦が巻き起こったのです(わたしは唯一の女性のためシングル確定)。
そこからの男たちの熱いバトル、蚊帳の外で見てるのはめちゃくちゃおもろかった。
バチバチ議論を白熱させてるみんなに「これはもうジャンケンするしかないよ」という高田さんの鶴の一声で、熱い熱いジャンケンバトルが始まりました。
そこに外のフードトラックで酒飲んでて出遅れるかなたさん。
あんな面白いじゃんけん大会も中々無いぞと思いました。

そんな感じで1日目無事終了!

2日目に続く(7月18日公開予定)

オオタケ
怪談収集家。
福岡を拠点に、収集した怪談を全国で語る活動をしている。
主な出演作は「怪談家ぁみの怪トーク」「実話怪談倶楽部(MVK受賞)」「Tokyo Kwaidan Festival2024」「島田秀平のお怪談巡り」「テレビ西日本 首都福岡」、掲載に「讀賣新聞」「BRUTUS」等。

リンク
サブカルフェス『カオスパニック』(ツイキャス配信)

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