今回ご紹介するイベントは「おてつば村」の第2弾!
「おてつば村」のことは、定期ライブユニット発足発表当初のX投稿で知っていたのですが、どちらかというと、イベントはお三方のけっこうなファンの方々が集うイベントなのでは、と勝手に近付きがたく思っていました。
しかし、初めて怪談イベントにいく友達を誘ったらその友達が無料になるという「友割」が発行されるということで、ということは、公式に初めての方もウェルカムなイベントということで、勇気を出して行ってみることにしました。
事前評判では「アイドルイベント」感があるとも伺っており、「怪談イベント」が「アイドルイベントみたい」ってどういうことだろう? という疑問を解消しつつ、「友割」を使ってみた成果もレポートしていきたいと思います。
「おてつば村」とは? 定期ライブユニットって?
おてつば村とは、デビューが同じ年、という意味で同期の怪談師である、おてもと真悟さん、佐伯つばささん、村崎一平さんのお三方のそれぞれ名前二文字をとってつけた定期ライブユニットの名称であり、イベント名そのものでもあります。
定期ライブユニットとは、常に一緒に活動するユニットとは異なり、普段は個々で活動しつつ、イベントでコラボするときだけこの名称を用いるようなイメージでしょうか。(違っていたらすみません)
筆者はVTuber事情にも割と詳しいのですが、コラボするとき用のユニット名を決めるというのは、本当によく行われており、1人が複数のゆるいユニットに所属しているというのは当たり前。
その方が覚えやすくハッシュタグをつけて応援しやすいので、とってもいい取り組みだと思います。
怪談師界隈にも、私が知らないだけで、もしかして定期ライブユニット的なものってたくさんあるのでしょうか。
事前情報によれば前半はがっつり怪談語り、後半は(怪談関係なしの)がっつりトークということで、一見、そういう怪談イベントはよくある印象ですがどう他と違うんだろう、と思っていました。
そしてこちらが冒頭で紹介した友割。
チケット1枚につき、「怪談イベントが初めての方」が1人無料ということで、怪談イベントの参加ハードルを下げるためにこの記事を書いている身として、これは利用しなければと使命感を新たにしました。
そこで、ちょうど怪談語りに興味があるという友人がいたことを思い出し、声をかけてみたところ快諾いただき、一緒に行くことにしました。
ところで、怪談イベントの会場ってわかりづらいことも割とあって、この「会場への行き方」動画は、特に方向音痴を患う私にはとってもわかりやすかったです……感謝。
テーマは「お葬式」遺影らしき写真がお出迎え
先に触れた「会場への行き方」のポスト通りに会場へ向かいます。
動画によれば多分ここだ……でも合ってるのか!?
不安に思って足元をみると、あの目玉ぎんぎんのキービジュアルが額縁に入って置いてありました。
ここで合っているようです。
開場10分たたないくらいの時間に中に入るとまだ席はまばら。
正面にはぽつんと3人の遺影のごとき写真が並べられています。
舞台まで出て行って撮影するのは遠慮してしまったため、画像が荒くて申し訳ないのですがこんな感じです。
トークパートで明かされたところによるとテーマは「お葬式」。
こういうワンテーマで空気を作っていく感じはとても素敵です。
また、参加者にはアンケートと次回イベント情報、グッズ紹介のチラシが配布されました。
第一部:雰囲気たっぷりの中、1人ずつ順番に怪談×2セット
時間になると会場が暗転、センターマイクに暗めのスポットライトが当たり、ここから1人ずつ順番に登壇して怪談を語ります。
1回の登壇で話すのは1話で、それを2セット、全6話の怪談をきくことができました。
トップバッターのおてもと真悟さんはちょっと胡散臭い(と私が勝手に思った)知人からきいた「アイドルグループをつくりかけた話」。
2話目は「本当の地獄を見たことありますか?」から始まる、臨場感たっぷりの震災時の避難所での出来事のお話。
最初のお話が約20分の大長編だったので、「あれ、タイムスケジュールどうなるんだろう?」と思っていたら、語りが乗りに乗って長くなってしまったようで、その後は1話6~7分くらいだったと思います。
おてもと真悟さんは王道の「怪談語り」的な描写力と演出が最初から最後まで適度に詰まっていて、最後に一言付け加える感じの考察も興味深く、お話を聞きながら途中で思っていた疑問にヒトコワな考察があって改めてぞっとしました。
交代する時間に一瞬音楽を大きくしたり会場演出的な部分も手が込んでいて、いい雰囲気です。
続いて佐伯つばささん。
佐伯つばささんの怪談はいくつかきいたことがありますが、「心理学的な考察などを交えながら独自のワールドを展開できる怪談師さん」という印象があります。
1話目は、世の中のことをあまり知らない人のおうちで起きた怖い話。
具体例を含む人物紹介が独特でまず面白く、そこからの怖い話に考察パートまで、期待を裏切らない語りに魅せられます。
2話目にお話していた念写にまつわるお話も、その話を語ってくれた人が自覚していない部分について仮説を立てて、「そう考えたほうがつじつまが合う」ような考察をしているところに「なるほど」と真相はわからないものの、納得させられました。
最後は村崎一平さん。
T-1グランプリ2024の本戦に出場されていて、確かな実力をお持ちでいらっしゃることは存じ上げていましたが、怪談を生できくのは初めなので楽しみにしていました。
駅前の不可解なライブパフォーマンスに魅せられる同僚の話が1話目。
(今話題のやつとは違いますが)金欠からある種の「闇バイト」をすることになった配信者の話が2話目でしたが、まず一言、すごくよかったです!
(後でお互いの怪談スタイルの良さについて語り合う一幕が、第二部のトークセッションであって似たようなことを話していましたが)最初は友達への近況報告みたいに始まり、ふんふんきいていると、突然の恐怖展開に陥る語りに圧倒されて、夢中できいてしまいました。
どちらのお話もイベント終わって1ヶ月近くたっても、怖い瞬間の絵が浮かんできます。
三者三様のバリエーションでとても楽しませていただいたのですが、やはり暗いお部屋でじっと怪談に耳を傾けていると、だんだん頭がぼーっとしてきてしまいます。
そんな時にストレッチをはさんでくれるところもありがたく思いました。
第二部:怪談なしで雰囲気一変! 募集したお題に答えるトークセッション
休憩をはさんで第二部。
会場が明るくなり雰囲気が一変。怪談師さん3人が舞台に登場してスタンディング&肉声でお話するスタイルに。
テーマが「お葬式」であることもここで明かされ、自分がするなら「こんなお葬式がしたい」をテーマに1人1人がアイディアをシェアするところから始まります。
事前に募集されていたテーマに答えていくということで、パーティーに出てきそうな、楽しげな抽選箱が出てきて、順番にお題を引いていきました。
意外だったのは第二部は怪談を一切話さないということ。
だいたいクロストークになってもその会話内容に応じた怪談がシェアされるのが怪談イベントの定番だと、最近わかってきたのですが、3人のキャラクターや軽快なトークを魅せることに振り切っているのがとても新鮮でした。
内容は基本的には非公開ということで詳しくは触れませんが、「陰謀論」や「お互いの怪談師として尊敬するところ」など、怪談周辺のトークテーマもあってとても興味深くききました。
「好きな『洒落怖』は?」というお題が出てきて、「みんな知ってるような話は避けて……」と、それぞれのお気に入りのマニアックな『洒落怖』話を読み上げたり要約したりして紹介していたのですが、「洒落怖」を全く知らない身で参加している私としては、「そうか、『洒落怖』が怪談界隈の一般常識なのか」と、その前提部分からふむふむと学びがありました。
ちなみに同じく知らない方がもしかしたらいるかもしれないので補足すると、「洒落怖」とは2ちゃんねるにあるオカルト板のスレッド「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」の略称だそうです。
検索するとたくさん出てきます。
3人でツッコミあいながらのトークで、第一部の怪談が嘘みたいな、笑いが絶えない和やかさで、あっという間の第二部でした。
友割の友人も大満足! 怪談語りの多様性や怪談師さんの生態を知れる「おてつば村」
とにかく怪談も、トークも全力で楽しかった! というのが率直な感想。
一緒に行った友人も大満足していました。
「おてつば村」の怪談師さんの3人は語りのテイストが3人ともけっこう違う、それでいてそれぞれ昔ながらのおどろおどろしい怪談というよりは今っぽさがあって、怪談を生で初めてきいてみたい人にとてもオススメできる内容でした。
ですので、レポートもそれぞれの怪談の持ち味を伝えられるように努めてみたのですが、どう考えても実際に怪談語りをきくほうが手っ取り早いので、少しでも興味をもったらぜひ2025年1月12日(日)に開催予定の「おてつば村」第3弾へ行ってみてください。
また、このイベントを見ると怪談師さんたちの生態がわかるというか、とても親しみやすい素敵な方々だとわかります。
スナップにサインしてもらえるお見送りイベントもしていて、(人見知りな私には到底無理ですが)ファンとして応援したい方にとっても楽しめるイベント構成になっていると思いました。
(この一連の取り組みが前情報としてきいていたアイドルイベント感なのかなと思っています)
今後も引き続き、拙いながらも初心者視点で怪談イベントの様子をお伝えし、「怪談イベントを見に行きたいけれど、私が行っていいものなのかな」と思う方のハードルを下げていければと思います。
Kana
2023年初めて怪談ライブに行き、本職での10年以上の広報経験から多くの人にその魅力を広めたくなってコラムを始める。
はじめての怪談レポートはこちら。
雑談系Podcast「誤り続けるオンナたち」配信中。
「ぽんのうず」でホラーゲーム制作にも挑戦。