遺言怪談 形見分け 2024.11.14 「遺言」だなんてそんな。「形見分け」って、まだまだ早いですよ、と思わず呟きたくなる不穏なタイトルである。それもそのはず、この『遺言怪談 形見分け』は加藤一氏と西浦和也氏という怪談界の生き字引、現在の怪談文化を切り拓き作り上げてきたレジェンドといっても過言ではない両名による共著である。周知の
null-geist / para-ghost 2024.10.10 眼科で検査を受ける際、測定機械を覗くといつも同じ画像を見せられる。空と草原が広がる景色の中央に一本の道路が伸びていて、その先には赤い気球が浮かんでいる。誰もが一度は目にしたことのある、あの画像である。気球を見続けてくださいね、と指示されると、画像の気球が勝手にピンボケになった後
怪談心中 2024.09.12 『怪談心中』はその名の通り、心中に纏わる話を核に構成された怪談集である。なんとも明瞭なタイトルで、非常に語呂が良い。「心中」という括りもありそうでなかったコンセプトで、老舗旅館での体験談である一話目「感応」から遊郭跡地が舞台の「死にたがる男」まで、本書では全ての怪談が、というわけではないが
Vtuber怪談 2024.08.08 カラーの単行本として先月末に発売されたばかりの本書は、竹書房の怪談書籍の中でも異彩を放っている。書店のホラー特集や怪談コーナーに置かれるよりも、コミックコーナーやそれらに特化した書店に平積みされるのに相応しい体裁をしていて、怪談ファンに向けてというよりも、本書掲載のVTuberたちの活動を
里沼怪談 2024.07.11 〈里沼〉とは、〈里山〉から想を得た造語で、人里近くにあり、漁業などの生業や魚釣りなどの遊び場として人々に親しまれてきた沼、武士の時代には壕として機能するなど、生活に密着し、歴史文化を育んできた沼のことだという。(まえがきより)群馬県出身在住で、これまでに群馬県内外の様々な怪談を
遠野怪談 2024.06.13 ごく当たり前のように聞いていた話が、怪談だったんだ——『遠野怪談』の感想で、遠野に地縁のある……とおぼしき方から、こんなコメントが寄せられている。開口一番に引用で恐縮だが、この言葉が最も本書を的確に評しているのではないかと思う。現在、竹書房怪談文庫では全国各地の怪談を地域し