2025年の怪談カルチャーに新風を巻き起こす賞レース『怪談師トーナメント〜新風戦〜』の開催が先ごろ発表された。
今回、主催である怪談社の糸柳寿昭さんに、注目を集める本大会について話を伺った。
(インタビュー・写真●怪談ガタリー編集部)

『怪談師トーナメント〜新風戦〜』の狙いとは?
——さっそくですが『怪談師トーナメント〜新風戦〜』(以下、「新風戦」)についてお話を聞かせてください。このトーナメントは「賞金100万円、応募資格は30歳未満」ということで、大きな注目を集めています。改めて、どのようなコンセプトなのでしょうか?
「その名の通り『怪談界に新しい風を吹かせる』、つまり『若い才能を発掘しよう』というコンセプトです。現在の怪談界を見渡してみると、若い語り手があまりにも少ない。でも、まだ見ぬ『本当に怖い話をする新人』はいるはずなんですよ。そういった若者を見つけ出し、育成することが目的ですね」
——これまで怪談社さんは、幾度も注目の語り手をフックアップしてきたと思いますが、本大会もそこに通じるものはあるのでしょうか?
「そうですね。怪談社は常に誰かをフックアップすることを考えて活動してきました。ある意味、その一環でもあると思います」
——「賞金100万円」もインパクトがありますね。
「30歳未満の若い子にとって、100万円は大きい。そして優勝後に活躍ができる場も与えられる。挑戦する価値は大いにあるのではないかと」
——ここまでで「若手の育成」「優勝後の活躍の舞台」というワードが出てきましたが、どのような計画をお考えでしょうか?
「優勝者に対して、きちんとした活躍の場を与えたい。お笑いの賞レースみたいに『優勝したら1年間は仕事が保証される』というような盤石な体制が今の怪談界の大会にはない。そのあたりもしっかりサポートしていきたいですね。それはイベントなのか、テレビ番組などのメディアなのかはまだわかりませんが、『意味のある場』を与えることが大切で、主催側はそれだけの責任とプロデュース力が求められると思っています」

出場者に求めること
——糸柳さんは審査員に入るのでしょうか?
「それはまだ決まっていませんが、可能性はあると思います」
——もし審査する側に立った場合、どのようなところに着目されますか?
「僕が審査するとしたら……。怖いかどうか。そこを見ます」
——大会要項にも「優勝する条件はただひとつ『怖い』ということ。」とありますね。
「シンプルにそこですね。ただし、内容だけでは『怖い語り』は生まれない。語り方、表現など様々なことの総合で『怖い語り』ができるかどうかです。それと……」
——それと?
「『表舞台で語る』という意識も大切だと思っています。それは身だしなみとかに現われる。清潔感というか。そのあたりも見ると思いますね、僕は」

「新風戦」への思い
——いよいよスタートする「新風戦」ですが、来年以降も続けていく計画はあるのでしょうか?
「まだ開催していないので、なんとも言えないのですが、3年、4年と続けていくことでさらに意味が出てくる気がします。続けることでこのトーナメントが若い世代に認知されて、本当の才能が集まる土壌ができていくのだと思います」
——最後に「新風戦」に応募を考えている若い世代へメッセージをお願いします。
「脅かすつもりはありませんが、応募をするなら覚悟してください(笑)。僕らは本気で『怖い語り』を求めているし、その先にスターになれるだけの『何か』を持っている人を探しています。でもチャンスは十分にあります。腕に覚えがあるなら、ぜひ挑戦してほしいですね。100万円を掴み取りに来てください」

怪談師トーナメント〜新風戦〜
「本当に怖い話をする新人は、いる」
優勝する条件はただひとつ「怖い」ということ。
審査員、来場者を実話で怖がらせた者が優勝者です。
開催日:2025年8月24日(日)
会場:築地本願寺ブディストホール
賞金:100万円
参加資格:2025年6月1日時点で20歳以上、30歳未満(予選通過後に身分証の提示が必要)。プロダクションに所属していないアマチュアのみ。
応募期限:2025年6月28日23:59まで。
応募要項、大会詳細は下記リンクに。