初めて「怪談イベント」なるものを知って1年足らず、両手で数えるほどしか行ったことがない未だに参加ハードルの高さを感じてしまう筆者ですが、5月11日、おてもと真悟さんの単独イベント「おてもと地獄変」に行ってきまして。
その際に、「おてもと地獄変」って怪談イベント初心者にもとっても優しいイベントなのでは?と思ったので、なぜそう思うのか、5つの理由を軸に振り返ってみたいと思います。
1)まるでひとりコントのような演出と立ち回り
「人生は選択の連続です!」
と声をはりあげるおてもとさん。
開幕第一声にまずびっくり。
続く1時間半はとにかく工夫が行き届いていて、退屈することがありませんでした。さながらひとりコントをみているようで、怪談イベントってこんなに楽しくていいんだとまず思います。
テーマは休憩をはさんで前半と後半でがらりと変わるのですが、前半のテーマは「選択」。ということで、先に書いた思いもよらぬ第一声だったわけです。
怪談師さんが何人か集まるようなイベントだと、前口上パートは主催者が担うことが多いのですが、今回は単独イベントなので、いきなりおてもとワールドに引き込まれました。
そこからテーマに合わせた少し長尺の怪談を3つ。
「僕、じっとしてられないんですよ。ずっと座っているの苦手で…」とおてもとさんは以前語っていましたが、そんなおてもとさんらしく、とにかく舞台を動き回り、和室の会場の襖を怪談の中で扉を開ける演出にそのまま使ったり、小道具に懐中電灯なんかも用意して、全力の語りが披露されます。
落語のように座布団にどしっと座り、表情と声だけで魅せる怪談師さんのスタイルも引き算の美学を感じて趣深いのです。が、もし初めての怪談だったら、「こんな怪談もありなんだ!」と思えるようなおてもと地獄変はエンタメとしてより楽しめるのではないかと思います。
1番伝えたかったポイントはここに集約されるのですが、一緒に行った同じく怪談イベント初心者の友人と「ここが楽しめたポイントだったかも」と話していたことを、あと4つ挙げさせてください。
2)ちょうどよい規模感で近すぎず遠すぎず
今回の「おてもと地獄変」は、(最初からそうしようとしてそうなったわけではないかもしれませんが)15名が両国の小さい和室に集まる形式。
人数が絶妙でした。
これは個人差があるかもしれません。
10人を切ると、ちょっと内輪な雰囲気の会話がお客さんとの間に発生してしまったりして、(特に人見知りの私のような)初心者にはハードルが高いんですよね。
一方で会場が大きいと、(つい遠慮して後ろの方に座ってしまう私のような人は特に)距離がありすぎて、せっかくライブなのに臨場感が薄れるというか…。
蓋を開けてみないとなかなか人数規模がわからないのですが、今回、私にとっては居心地の良い規模感で安心して参加できました。
3)長すぎない怪談、ちょうどよい全体の尺
怪談イベントにいくつか行ってみて思うのは、いくら面白いお話も、たとえば1本が20分以上あるものだったり、2時間以上のイベントの終盤で聴いたりすると、当日のコンディション次第では途中気が遠くなり、眠くなってきてしまうことがあります。
会場は薄暗いことが多く、怪談師さんの声はとても耳に心地良いので、それもまた致し方ないことだとは思います(ごめんなさい)。
ですが、初心者だと特に、怪談の内容もそれほどパターン化されていないので、話の内容に全集中しないと何が起きているのかわからなくなってしまって大変なのです。
そんな中、今回は1時間半という全体の尺も、各怪談話の長さもちょうどよかったと思います。
特に配慮を感じたのは集中力が落ちてくる後編でした。
衣装もチェンジし、(確か)おてもとさんが「ホテル」の受付スタッフになりきって、案内している中でちょっと怖い話に触れる内容。数分程度の短いお話が多く、案内しながらすっと怪談に入るので、集中力を維持できました。
4)今後の進化を追いかけられるかもしれない
「おてもと地獄変」と銘打つおてもとさんの単独イベントは今回が初開催!
「人生は選択の連続」だけれども「このおてもと地獄変にきたことは間違いなく正しい選択」だと熱弁していたおてもとさん。
おてもとさんによれば、今後もデアゴスティーニのごとく、体力が尽きるまで、手を変え品を変え、「おてもと地獄変」は月1で開催するそうです。
15人で始まった単独イベントも、今後ぐんぐん成長して、なんなら武道館を埋めるかもしれません。おてもとさんからはそのくらいの目のぎらつきを感じました。
その伝説のスタートラインは既に切られてしまったけれど、今後の圧倒的進化を見守る1人にはまだなれるはずです。
と、勝手にハードルを上げましたが、怪談イベントってシリーズ化されているものが多くあるのですが、始まって間もないものの方が参加ハードルも低いですし、成長や変化を見守る楽しみも生まれます。
ちなみに、次回は6月15日だそうです。
5)どんな人?をポッドキャストやYouTubeで予習できる
私もそうでしたが、そもそも怪談師なんて職業自体を、多くの人がきいたことないと思うんです。なので、怪談イベントに行ってみようと思っても、めちゃくちゃ怪しい人だったらどうしようとか、とても怖い場所で開催されてたらどうしようとか、不安は尽きないんですよね。そんな時はYouTubeなどオンラインコンテンツがないか見てみるのがオススメです。
おてもとさんも怪談ユニットテラーサマナーズとして、YouTubeやポッドキャストで発信しており、「この人どんな怪しい人なんだろう?」と気になったらすぐにチェックすることができます。
個人的にはゆる雑談をききつつ、怪談師としての日常が垣間見えるポッドキャストが大好きですが、最近猛烈に登録者数を伸ばすYouTubeもライブコンテンツが多くてとってもおすすめです。
「でも、怖いんでしょう?」と思う方、テラサマのコンテンツは全然怪談を語らないし、全然怖くありません。といったら怒られそうですが、私はそれもまた魅力の一つだと思っています。
イベントの方が語りの臨場感が増すので、オンラインでいい!と思ったら対面でみたほうが何倍もいいのは間違いないと思います。
ちなみに、今後ずっとかはわからないですがYouTubeのチャンネル登録をしていたら、参加費がお得になったので、フォローしておいて損はないはずです。
改めて「おてもと地獄変」の内容
おてもとさんがセットリストみたいな形で語った怪談の演目を紹介してくださっていましたので、最後にそちらを紹介します。
【前半テーマ:選択】
・姿見
・帯刀(夕暮怪雨さんカバー)
・ごからさん
【後半テーマ:ホテル】
・深夜2時の外出
・お札の穴
・池袋のラブホテル
・熱海のホテル
・看護婦がいる廃病院
・姿見
「そうだ、怪談イベントに行こう」と思った初心者さんに
怪談イベントに行ったことのない方には、この1本の記事だけではなかなか「怪談イベント」がどういうものか、伝わりづらいと思うのですが、どういうポイントに気を付けるとおすすめのイベントを見つけられるかの参考になればと思っています。
そして、今後も初心者視点で怪談イベントレポートをマイペースに紹介していき、少しでも「(怖い話には興味あるけど参加ハードルが高すぎて)怪談イベント見に行きたいけど怖いなぁ」と思う人のハードルを下げていきたいです。
怪談イベント玄人な方に怒られないかとっても心配しつつ記事を書いていますが、もしよろしければ「こんな観点も初心者の方に伝えたい」「この怪談師さんのイベントも初心者におすすめ!」といった情報も感想とともに教えていただけたら今後の記事執筆の励みになり、うれしいです。
Kana
2023年初めて怪談ライブに行き、本職での10年以上の広報経験から多くの人にその魅力を広めたくなってコラムを始める。
はじめての怪談レポートはこちら。
雑談系Podcast「誤り続けるオンナたち」配信中。
「ぽんのうず」でホラーゲーム制作にも挑戦。